なにかとストレスの多いこのご時世。つらくて悲しい気分になってどうしようもなく落ちこむことだってありますよね。ときには先人たちの言葉をききたくなることもあるでしょう。だってそこには、世のなかを生きぬく知恵や心得がたくさん記されているのですから。
なかでも哲学という学問は人生の教訓と成りえる言葉が非常に多くあり、倫理感や社会規範を形成するのにかかせないものです。そのため、私たちの心に響くものがたくさんあります。
『毒舌訳 哲学者の言葉』 有吉弘行著(双葉文庫)
なにかしらの悩みがあるときに哲学の本を手にとることが多いからでしょうか。哲学者の言葉というのは、どうしようもないほどの極現状態に陥ったときに「妥協案」または「打開策」として生まれたのではないか――と考えられる言葉も多いような気がします。あくまでも個人的な見解ですけれど。しかし哲学者の言葉というのは、いくらなんでも難しすぎる~!
……でも! そんなとんでもなく奥が深い哲学でさえも、あの毒舌キャラでおなじみの有吉先生の手にかかれば、すばらしくシュールな言葉たちに生まれかわります。これぞブラックユーモア! しかし、それでいて言葉の本質はなにひとつ見誤っていないところはさすがの一言。
これを読めば、哲学に興味を持つことは必至でしょうね。簡単明瞭かつスッキリ爽快! そして痛快!! 日頃のストレスがスッキリすること間違いなし! さあ、あなたも一緒に哲学のおもしろさに引きこまれてみてはいかがですか?
偉大なる哲学者をまきこんで「有吉ワールド」大さく裂!
哲学者の言葉は難しすぎて「とっつきにくい」のが正直なところ。だけどじつは、彼らはささいなできごとを難解な言葉に変換して“それっぽく”述べているだけなのでは? ――こんな的を射た毒舌訳をされてしまったら、偉大なる哲学者でさえも手も足もでない(はず)! 有吉弘行さんのことが好きな人も苦手な人も、有吉流風刺の手にかかって笑わない人などいないと思いますよ!
この本のなかには100個もの哲学者の「偉大なお言葉」が記載されています。それをひとつずつ丁寧に有吉先生が毒舌訳をしていくというスタイルで、「女・金・働・性・生・死・恥・己」についての全8コンテンツにわかれています。すべての毒舌解説が見開き半ページから1ページ程度の短い文章でまとめられており、ちょっとしたスキマ時間に読むことができます。私はあっというまに読みおえてしまって、気に入ったページを何度も読みかえしてしまいました。ただ、思わず吹きだしてしまうものもあるので……! 電車のなかなど公共の場で読むときには少しだけ(顔に)緊張感を持っていることをおすすめします。そうですね、哲学者のごとく小難しい顔をして読んでいればいいのです! でないと、私のように恥ずかしい思いをすることになってしまいますからね。