恋愛がワンクール(3か月)しか続いたことがない、恋愛コンプレックスの塊だった筆者。26歳のときに出会った男性と1年半の交際を経て結婚しました。結婚・恋愛に悩む方のサプリメントになるコラムをお届けします。
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「こら~! 布団が甘辛くなるでしょ!」
「(布団をかぎながら)ほら、甘辛い匂いがついちゃったじゃない……。シーツ交換したばかりなのに」
「お風呂に入ってないなら、ご自身のベッドでごろごろしなさい」。
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1~2週間に一度くらいの頻度で、私は夫をこうしかりつけます。口調的にはしかるというよりも、たしなめるといったほうが正しいかもしれません。
野球をして泥だらけになって帰宅した子どもが、汚い服のままソファに座ろうとするのを「こら~! 汚れたユニフォームを脱ぎなさい! ソファに泥がつくでしょ!」と阻止する親、みたいなもの。
嗅覚だけがすぐれているゆえの不幸
甘辛い布団――これは我が家でたびたび問題になる事項です。私と夫の個室はわかれていて、ほぼ9割方私よりも遅く帰宅する夫は、洗面所で手洗いうがいをしたあと、私の部屋にひょっこりと顔をだします(部屋に明かりがついていて、私が起きているとわかるとき)。
引き戸をあけられた途端、プ~ンと漂う甘辛い香り。幸か不幸か私の鼻は敏感にできているため、匂いに気がつきやすいタイプです。「いらっしゃい」と手まねきし、服についた匂いをくんくんとかぎます。とくになにかを疑っているわけではなく、この日はいったいなにを食べたのかをあてたいのです。
「(夜食べたのは)焼肉?」「お好み焼き?」と予想を述べるもたいていハズれるのですが、そうこうしているうちに夫は私の腕をすり抜け、その甘辛い匂いのついた服をまとったまま、私のベッドにダイブ。「こら~!」と毎回おこってしまうわけです。
まさか、こんなことでケンケンするとは思っていませんでした。これぞ、THE・生活スタイルの違いです。結婚後に必ずでてくるアレ。
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たとえば、自分は一回使うごとにバスタオルを洗うのに相手は3日に一回しか洗わない、自分は夕食後に洗いものをするのに相手は一晩放置して翌日洗う、自分は玄関で靴をそろえてから入るのに相手は靴を脱ぎ散らかして入る――などなど。ちまたでよくいわれる「結婚して幻滅したこと」はいろいろありますよね。
我が家では私がすべて家事をまきとっていますし、私自身が男性にたいして過剰な期待をせずに「男性には大人と少年の顔があり、パートナーの前では子ども化することが多い」と思って生きているため、夫に幻滅することはほとんどありませんでした。
夫が脱ぎ散らかした服・靴下や自室に放置した使用済バスタオルを回収したり、燃えるゴミに捨てられたペットボトルを拾って分別したり、つけっぱなしででかけていった電気のスイッチを消してまわったりすることは苦ではありません(けっしてdisっているわけではない)。
「彼は今、少年化している」と思えばイライラしない
「いつも仕事をがんばっているので、家では気が抜けてしまうのだろう」「子ども化して甘えているのだろう」と捉えれば、感情がブレることはないのです。女性誌では仕事も家事も育児もソツなくこなす、いわゆる「イケダン」がもてはやされていますが、本当にあの種の男性は存在しているのでしょうか。
私はイケダンを求めません。夫にイケダン化してもらおうとも思わない。自分が完璧ではないのに、相手に完璧を求めるのはおこがましい。かわいい・おもしろい・賢い・稼いでいる夫――これ以上求めることはありません。
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しかし、甘辛い布団だけは許せないのです。私は原則、飲み会や食事会など匂いがついた服で帰宅したら、すぐにお風呂にはいり清潔な服装をまとってから、ベッドに崩れこみます。外出して汚れた服で布団に横たわりたくない主義。一人暮らしをはじめた18歳のときからそうでした。
だから、私のベッドで甘辛い服で転がりまわり、その香りを残して無責任に自室へと帰っていく夫にたいし、子どもをしかる親のような態度をとってしまうのです。
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これだけはどうしてもゆずれない事項。他人と共同生活を送るうえでは、当然なにかしら問題がでてくることはあると覚悟していました。でもありがたいことに、そういった揉めごとはほとんどないまますごせています。
とはいえ、どうしても譲れない問題ってひとつくらいはあるみたい。逆に「ひとつしかない=幸せ」だと考え方をかえてみることにしましょう。